鍋太郎の超時空屋台

火曜日〔サムライの日〕

　職場に着いた。入金機にプリペイドカードを挿し込み、千円分をチャージした。売店に入り、菓子パンとコーヒーを買った。空いている卓席に座り、マスクを外した。窓際の卓席へ視線を転じると、等身大ラゴンが「朝弁当」を使っていた。今回のそれは、ハムと卵の塩こしょう炒め、丼風。きゅうりのピクルスとかぼちゃのチーズサラダ。そして、おろしれんこんとオクラの中華スープであった。食後、市内のパトロールに出かけるそうだ。夏の終わり頃から「ひとさらいの国」の尖兵、斥候の類い(らしき)存在が各所で目撃されている。ラゴン氏、第一の任務は彼らの目的と潜伏先(アジト)を突き止めることである。

　帰りの車中で、北の川収録の「子供は風の子、大人は酒の子」「ゴーギャン野田の生活」「素潜りと読書の日々」を読み終えた。地元駅下車。飲食街へ足を進め、弁当屋の暖簾を割る。予約商品を受け取り、代金と同額の現金を渡した。コンビニに寄り、ヨーグルトを買った。夕刊紙のトピックは「早期解散封印？区議選７人落選の大打撃」「最高裁は大統領に『ノー』か？クリスマス商戦を前に全米注視」「『長嶋茂雄賞』新設も…候補者ゼロの悲しい現状」など。帰宅は［１９：００］になった。ラジオのニュースを聴きながら、腹筋運動と腕立て伏せを４０回ずつ。その際、名優の訃報を知り、刹那愕然となる。

♚『豪姫』の古田織部役。仲代達矢さんの御冥福をお祈り申し上げます。

月曜日〔ハンドクリームの日〕

　新潮文庫を開いた。野田知佑の『北の川から』の続き。一番目の大きな駅に停車したところで、本を閉じた。終点到着まで、目蓋を閉じ、眠りの訪れを待った。改札を抜けて、地上へ出る。ラジオを聴きながら、職場に至る道を歩いた。休憩広場、窓際の卓席に陣取り、売店で買ったコーヒーを飲む。中央の卓席では、等身大ギガス、同ウー、同ジャミラ、同ギロンが、各施設に無料で配る予定の〔ふわふわドーナツ〕〔しっとりドーナツ〕〔まんまるドーナツ〕の試食会をやっていた。子供たちが大喜びする場面が容易に想像できた。

　帰りの車内で、北の川収録の「秘密結社とキャンプの夜」「身障者カヌー始まる」「死のクロカン・レース」を読み終えた。数分ほど遅れて、地元駅に着いた。下車後即座に家路につく。弁当屋の暖簾を割り、三商品を買う。代金は電子マネーで払った。コンビニに寄り、発酵乳を買う。夕刊紙のトピックは「周辺が猛プッシュ『１月解散説』急浮上」「迫る『自己破産』金銭トラブルで深刻金欠」「日米〔大はしゃぎ〕会談の自業自得」など。部屋に戻り、腹筋運動４０回と腕立て伏せ５０回をやる。ラジオの話題は「クマをめぐる動き」について。浴室に入り、体と髪を洗った。晩酌はブラックニッカの常温ソーダ水割り。肴は焼きうどんとおでん六品…大根、卵、半片、白滝、蒟蒻、竹輪。

♘最近、カヌーが少しも楽しくない。カヌー・ライターとしては失格だ。書きたくなるような良い川が少なくなったのである。『北の川から』５５頁

日曜日〔いい地球の日〕

　貸しＤＶＤ屋に入り、鑑賞済みの２枚を返却した。各棚をめぐり、旧作２枚をケースから抜き取る。それらをセルフレジへ運び、コイン数枚を機械に食べさせた。店の外に出ると、世界は「夜」に変わっていた。俺の知らぬ間に日暮れが早くなった。今度気がついた時には、年が明けているに違いない。帰途、弁当屋の暖簾をくぐり、予約商品を受け取る。代金は電子マネーで払った。コンビニに寄り、交通カードに一万円分をチャージした。今夕のトピックは「還流疑惑 どうする『辞任圧力』」「区議選大荒れ 暴力的現場は混沌の極み」「若手登竜門〔スーパー戦隊もの〕が消滅する衝撃」など。家に戻り、シャワーを浴びた。愛機起動。エキサイトを呼び出し、日記を打ち込んだ。シャットダウン視認後、晩酌を始めた。焼きそばとおでん六品を肴にして、ウイスキーの常温ソーダ水割りを呑(や)る。ロールキャベツ弁当を腹におさめてから、卓面を整理した。新しいタンブラーにウイスキーをそそぎ、ミネラル水で割った。やりつつ、コンパクト版『ゴルゴ１３〔４６〕』と『同〔４７〕』を再読する。

♘約束の時間にピッタリだな……さすがは元商社マンだ……。〔デューク・東郷〕

　目蓋を開けると、翌日の朝が訪れていた。眠っている間、奇妙な夢を見ていた。公共施設の館内劇場のようなところで、大勢のファンといっしょにテレビ版『デビルマン』の新作を眺めているのだった。物語の内容や登場妖獣は憶えていないが、不動明の声は田中亮一さんが担当されていた。洗顔後、台所の電気ケトルに水を足した。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。田口食品社の「ひかえめに言ってちょっと贅沢なエクレア」を食べながら、熱いやつを飲む。居室へ二杯目を運んだ。座布団に腰をおろし、携帯型の電源をオンにした。モンスターズ２の続き。地獄の帝王の息子、プチタークには依然会えない。もしかすると「タマゴから生まれる」タイプのモンスターかも知れない。

☖リングやまざきⅠ〔バブルキング♂〕ＨＰ２１３９／カルベロビュート

☖イトウ・イサオ〔ダゴン♀〕ＨＰ１５７０／武器：カルベロビュート＋１

☖ウェルチおざき〔がいこつけんし♂〕ＨＰ１８７１／ぎんがのつるぎ＋２

☖ロードスささき〔はぐれメタル♂〕ＨＰ１７１／武器：レイピア＋２

ettle,whiles hit 210

土曜日〔水循環に思いをはせる日〕

　歩廊の時計が［１９：３０］を示していた。階段をのぼって、改札口に向かうわけだが、ここにもスマホの奴隷、付属品の類いがいて、俺の前方を塞いでくれるのだった。まったく邪魔だ。蹴りつけても罪にならない法律を作って欲しい。飲食街へ足を進め、煮売り屋の暖簾を割る。カウンター席が空いていた。椅子に腰をおろし、マスクを外した。揚げ立ての揚げ豆腐、小松菜とベーコンの炒めものを肴にして、清酒(熱燗)二合。チキンソテーと具沢山の味噌汁をおかずにして、飯を食べた。代金は安い。同額の現金を渡し、店を出る。家路の途中、コンビニに寄り、発酵乳を買う。夕刊紙のトピックは「総裁に必要なのは〔騙しのスキル〕か？」「その正体は亡霊政権」「元農水省エリート コメ政策を根絶やしにする」など。帰宅は［２０：５５］になった。浴室に入り、温水を浴びた。居室の座布団に座り、ウイスキーをソーダ水で割った。呑みつつ、講談社文庫の『信長 秀吉 家康 勝者の条件 敗者の条件』を再読する。

　布団の中で、翌日の朝を迎えた。起きざま、蚊を一匹退治した。昨夜、俺の眠りを妨げたのは多分こやつだろう。殺生は好きではないが、ここは我が縄張りである。諦めてもらうしかない。手と顔を洗ってから、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。グリコマニュファクチャリングジャパンの「カプリコ ミニ」を齧りながら、熱いやつを飲む。居室へ二杯目を運んだ。座りざま、卓上のポータブルプレーヤーの電源をオンにした。自動的に『銀河鉄道９９９』の再生が始まる。映画終盤を観る。今回、プロメシューム(演者：来宮良子)が鉄郎を奈落の底(？)に引き摺り込もうとする際に放つ台詞が『柳生一族の陰謀』の千葉十兵衛の台詞に「かなり似ている…」ことに気づいた。偶然だとは思うけれど、俺にとっては面白い発見であった。プレーヤーの電源を切った。ＤＶＤを取り出し、ケースにおさめた。

♘信長の戦法でまず挙げるべきは「情報」の重視である。〔津本陽〕